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STRAWBERRY MOON

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リア彼 69

Category - リア彼
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「まったく、チャンミンくんまで巻き込んでお兄ちゃんったら…、明日にしなさいって言ったのに、」





仏前にある座布団の上で
まるで眠ってるかのように丸まってるトラを撫で、何か話しているようなユノを見てそんなことを言う


でも、
ほんとにそれでいいって思っていたら、朝から電話してくるはずもなく…


お母さんも…、








「悪いわね。お料理も手伝って貰っちゃって、」


「いえ、僕にできることがあれば…、」



「これ、剥いといてくれる?」


「はい。」




手渡されたのはたくさんのジャガイモと人参



こうしてトラの訃報に飛んでくるのは僕らだけじゃなく

親戚一同って言ってもいいくらい夜には集まるって







「孫たちに人気なのがカレーだから作ろうと思って、」




その明るい声に胸が軋む

いつも通りに普段通りにって動きまわるその姿を目で追い、そしてユノを見る


…お母さんだって本当はユノと同じように、


ユノに寄り添うようにくっついているパトラッシュもジッとトラを見つめ







「…トラもね。寿命だと思うの。
眠ってるだけだと思ったんだけど、ね。」






さっき撫でた時
まだほのかに体温が残ってた

いつもの柔らかさはもうなかったけど



そんなトラの体温がゆっくりなくなっていくのを見送るようにユノは撫でる


優しい声で問いかけながら









「さぁ、あとは何作ろうかしら
お父さんは魚釣ってくるって出たっきりであてにはならないし、冷凍庫から魚出してきちゃおうかしら?」






…そうはいっても手は止まり
視線はユノたちの方へと







「…拾ってきた時はお兄ちゃんの両手に収まるくらいでね。何食べても吐いちゃって、」




弱々しい猫で今にも死にそうだったのを
猫を病院に連れてくなんて、という周りの声も聞かずにユノが病院に連れてったと






「この辺じゃ、猫なんて見飽きるほどいるもんだから、そこまでしなくても、と思ったんだけどね。」



1軒目の動物病院ではトラが小さすぎてどうしようも出来ないって追い返され

探しに探した2軒目でダメ元でと点滴と投薬






「お腹ん中いっぱいに虫がいたみたいでね。ほんの数日違えば会えなかったかもしれなかった子なの。」






あんな弱かった子がこの辺のボスだなんて
わからないものよね。と




ユノの温かな掌と
お年玉とお小遣い全部で繋がった命は

この場所でのびのびと
そして恩返しとばかりにこの家を守って






…今も
その時安心したその掌に撫でられ






「恋するパトちゃんにまで来てもらえてトラは幸せね。」





パトラッシュは
スンっと一度トラの匂いを嗅ぎそのままユノの隣に座り込んだ

ユノにカラダ寄せ想いを重ねてるかのように








「お兄ちゃんもこうしてここまでついて来てくれるあなたがいて幸せね。」


「…僕はなにも、」




「好きな人が心をわかってくれるっていうのが一番幸せだと思うのよ?」





ジャガイモを剥いてた手が滑りそうになる

そんな僕を笑い「ピーラーの方がよさそうね」と僕の手から包丁を抜きとりこどもが使うようなピンク色のピーラーを手渡される







「…チャンミンくんはお兄ちゃんの気持ちに応えてくれる気はあるのかしら?
って、わたしったら、お節介ね。」






一緒に住んでるってわかっていて
こういう風に聞いてくれる優しさに胸が詰まる







「…僕も、その…、、」




「そう。なら良かった。
あの子強引で頑固なところがあるから、」






僕の言葉を待たず頷き「よかった」と繰り返す

ユノの片想いなのかと心配してた、なんて言いながら、



…息子の相手が僕で、いいの?






「お兄ちゃんには内緒よ?わたしが知ってるってこと。」





声をひそめてふわっと微笑む

ユノに似た目元を細めて





…つい、手の中にあるジャガイモに目を落とす


孫たちのためにってこうして好きなものを作ろうとしてるこの人にユノの子を見せてあげることはできない。


それだけが…気掛かり、






「…いいのよ。孫はもうたくさん。
クリスマスと正月だけで破産しそうだもの。」




剥き終わったジャガイモを手の中から抜き取られる

この水張ったボウルに入れてね。と



こうして僕の気持ちを先回りして言葉をくれるところはユノと同じ





…チャンミンは考えこんでないで
もっと言葉にすりゃいいのに…

ユノに言われる言葉


つい黙ったまま待ってしまうのが僕の悪い癖
言葉にしなきゃ伝わらないのに、







「…ユノのこと、大切にします。」



「ん。そうしてあげて?
あの子が笑ってる顔がわたし一番好きなの。」





それだけ言うと話題がコロコロと変わっていく


まるで世間話のように話は流れて

近所の誰かとかさんの話とか芸能人の話とか
とめどなく話してくることに頷き返事を返す





「さぁ。御手子がいたから助かっちゃったわ。」



主婦の特権、と
口の中に放り込まれたお肉の塊はホロっととけるように美味しくて



「あとは御使い頼まれてくれる?
お酒がもうなかったと思うの。こども用のジュースも、あとは…、」





トラのために集まる人たちのために心尽くす

さよならと思い出話を彩るごはんは
みんなが好きなメニュー




あたたかく、
ほんとにあったかくトラを見送る





こんな最期なら幸せだな、と思う

あのあったかい掌に撫でられて思い出を聞きながら…

美味しそうなごはんの香り漂いみんなが集う



…トラ、見てる?






窓から入ってくる風には雨の香りも混ざり
少し肌寒い


薄い雲が早く流れ
濃い重い雲がゆっくりと近ずいてくる






ポツリ、ポツリと降り始めた涙雨は


遣らずの雨、だね





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今日も読んでくれてありがと!
みんなありがと(つ`・ω・)ω-*)ぎゅー♡︎感じたことそれぞれみんな違うから、それが嬉しくて。嬉しかったの。←変な日本語w
プチキリ番の報告もありがと。
(๑꒪ㅁ꒪๑)こんなんなってるけどなんとかごはんは作れてるからまだ大丈夫←なに基準w
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Category - リア彼

2 Comments

『時間博士』です。  

こんばんわ『僕猫さん』
「ユノという人」と「ユノを取り巻く家族と、友達」が「チャンミンの心」に静かに寄り添っていくように、そして「チャンミンが心」を開く事を、願うばかりです。
マイノリティの問題は誰かと共存する上では、避けては通れない道ですね。お互いの為に、お互いに一歩ずつ、ゆっくり寄り添っていってもらいたいです。

『青空』の写真、その空の向こう側に何かがあると信じて、私達も一歩を踏み出したいですね(^o^)

2018/09/15 (Sat) 23:32 | REPLY |   

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2018/09/16 (Sun) 00:26 | REPLY |   

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