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STRAWBERRY MOON

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音 82

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ちょいちょいこういうのを挟んでますが…
カテ違いにならないよう頑張る←予防線?w


20180409135812a1c.jpeg








キムさんが奏でたピアノの音色は
切ないのにあったかくって

ユノが僕に聴かせたいって言ってた意味がなんとなくだけど分かる。





繊細だけれど力強くて
音が幾重にも広がってく





音楽なんてさっぱりわからない僕だけど
瞼を閉じて耳を澄ませ心を開けば

じんわりと目頭が熱くなる




曲には想いや希望やメッセージ
そんなものが詰め込まれてる


その曲を作った人
そしてそれを奏でている彼女の人生が心に広がっていく










「それでね。チャンミンくん
ここの鍵はこうして…、」



外の物置の扉

小さなカラダを押しつけながら鈍い燻色の鍵をガチャガチャっと回す




「コツさえつかめば開くのだけれど…
ここは庭木の肥料なんかを置いてて…」




やっと開いたそこからは特有の香りがする

腐葉土の匂い…かな?

日陰なのに少し蒸し暑いその小さな小屋には
ところ狭しと庭木を弄る道具が並ぶ






「育てるのが面倒だったら、誰かにお譲りしてあげてね?」



って言われたって、3mもの背丈くらいある木々をどうやって譲れば…、


周りを愛おしげに見渡す彼女のためにもなるべく大切にしていってあげたい

上手く育てる自信はないけれど…、





「肥料をね。ちょちょっとあげてるだけで実ができるとは思うんだけど、」




跳ねるように庭を周り
さっきの小屋から出した肥料らしきものを撒いていく






「さっき出したのはこの子なの。」




指差すそれは
この庭で一番大きな木は夏ミカンの木で

なんでも旦那さんが種を植えたらいつの間にか育っちゃったっていう代物




酸っぱいけど砂糖漬けしたら美味しかったでしょ?と


確かに酸っぱいし種もたくさんだったけど
スッキリした味で美味しかった。






「…えっと、あとは何を伝えておけば良かったかしら?」



エプロンのポケットからメモらしき紙を取り出しメガネをずらしながら文字を見る




僕らにこの家を売るという契約が成立した途端、引き継いで欲しいものがあると言うキムさんの家を訪ねることが多くなった。



来るたびに減っていくものたち
彼女の思い出がこの家から消えていく






「2階のベッドはお客様様用にって買ったものだから余り使ってないのだけど、」

「よろしければ頂きます。」



僕が彼女の大切にしてきた調度品を譲って欲しいと言うとその度に嬉しそうな顔をする彼女






「…本当にピアノは運び出さないんですか?」



彼女が一番大切にしてきたもの
それを置いていくと言う



「大きくって邪魔よね?」


「そんなことはないです。けど、大切なものなのに…、」


「娘夫婦の家にもあるのよ。」




音楽一家らしい彼女の娘さんの家にもピアノがあるとは言うけど…、




「たまに弾きにきて良いかしら?」


「是非、いつでも弾きに来てください。」




ついお節介で聞いてしまう。


いつでも来てもらいたいけれど、片道5時間も離れたその場所へ旅立つ彼女が

愛した人からの大切な形見のようなピアノを置いていかなくてはいけない現実が僕には理解出来なくて



娘さんのがあったとしても
このピアノの方が断然大切にすべきもので

そっちを処分してでもこれは彼女に必要なんじゃないか。と


つい…、そんな気持ちが湧いて、






「良い人たちと暮らせるようになるんですもの。私も安心だわ。」





黒い宝石のように光るグランドピアノ
鍵盤は少し象牙色で


彼女の指がそこに乗ると綺麗な音響かせ





「チャンミンくんも習うと良いわ。
いいわよ?音楽は。悩みなんて飛んでいってしまうから、」



「…そうですね、」




ギターも楽しかった。

音楽に関する仕事をしてみたいって思ったのだって、あの夏祭りの経験があるからで





「でも…、
本当に…置いていって寂しくないですか?」


「寂しいけれど、寂しくないわ。
私、自分で選んだ道はね、失敗したことないからわかるの。これが最善だって。」




…失敗、したことが、ない?




「後悔は一個もないの。
…違うわね。後悔しても後悔したこと忘れちゃうほど幸せに生きてきたってことかしら?」






そう言った彼女が弾いてくれた音楽は


たくさんの苦しみも悲しみも超えて来たからこそ醸し出せる世界観に思える



気付けば頬に熱いものが流れ
心が震えてるのがわかる





苦労や後悔は誰しもしていくものだろうけど
全て幸せに重ねていける生き方もあるのかもしれない




切ない恋の歌も優しさを含み
激しい怒りの曲も悩める人を励ますような音へと…、




そんな彼女が暮らしていたこの家に僕とユノの人生がこれから加わっていく



いつ彼女が訪ねてきても
おかえりなさいって言える家を

ユノとふたりで、


ふたりで築いていこう、と




彼女の好きなアフタヌーンティーと優しい音

ずっと忘れられないゆっくりとした時間



この時に負けないくらいの時を
ユノと僕で


僕らが家になれるように…




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今日も読んでくださってありがとう!…はい。安定のBLでないシーン←コラ!
あ、心配してくださった方々ありがとう&すいません^_^遺品整理って言ってもアレで←アレってちゃんと言いなさい!w
えっと、僕猫転勤前3世帯で住んでたのね。で、里帰り度おばあちゃんの部屋に入り込みちょっとずつ遺品整理してたんだけど、ここで大物終了♡
お義母さんも体調崩してるし僕猫の出番なのだよ!
って、めっちゃ筋肉痛なんだけどw
あ、ご褒美は東方神起のDVDだった!←テレビでやる度録画してくれてるなんていいお義母さんでしょ?
そして汗だくで綺麗にしたら…、大量100円ヘソクリが!←ちゃんとみんなで分配したよー
いいことすれば思ってもなかったものが返ってくるもんだねー?^_^
追記:名前違いの指摘ありがとう!直ったかな?←やらかした僕猫w
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4 Comments

山照  

おなまえ

あのぅ、ピアノの奥さまキムさま、ではなかったかしら?
本文は、情景がうかぶような繊細な表現で、私も真似っこしたいです🎵

2018/07/02 (Mon) 14:15 | REPLY |   

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2018/07/02 (Mon) 20:18 | REPLY |   

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2018/07/02 (Mon) 23:55 | REPLY |   

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2018/07/03 (Tue) 00:01 | REPLY |   

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