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STRAWBERRY MOON

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音 3

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開店前の薄暗い店内にカチっカチっ、と
モップが方向変える音が響く


靴底のゴムが擦れ鳴り
見なくても動き回ってることが分かる







…俺が覚えてなくたってしょうがねぇと思う







「じつは以前お世話になって…」と、バイト始めてすぐの頃チャンミンが俺との出会いを言ってきた。


何度も頭を下げて
「あの時はありがとうございました。」って律儀に









あの雪の日

店の前ですっ転んでズボンを濡らしてた小僧がチャンミンだったとは…


顔半分はマスクで隠れてたし
瓶底眼鏡だったし
短髪ツンツン頭で今と全然違うし



ほとんど喋らなかったし…






それをツルの恩返し的な、浦島太郎物語的な思考の持ち主なのか

バイト時間外にも店に顔出し動き回る。




ここの初バイト料で買ったっていうチャリで休講時間や空き時間までこの店に飛んで来て

開店前もこうして…




行ったり来たりと床を磨き
終わると用具入れを開け片付ける。


そんな様子に耳傾け
カウンターでパソコンに向かう。




…チャンミンが物をしまう音ってのは丁寧だ

後から用具入れを見れば分かる。
居場所が決まったように整頓され並ぶ用具


俺が適当に入れても
すぐにそうなる。



店の商品も…





「店長、今日はちょっと早めに入れますんで。」


「…いや、良いよ。
少しは大学の友達と遊んだりとか、あるだろ?」



そう。店の商品も丁寧に並べ変えられる
CD陳列から楽譜、細かい楽器の部品も



最初は黙って直してくれてたのに
だんだんお小言が増えてきた。




「…出しっ放しにすると分からなくなると思うんですけど。」



ほら、今だってこうして



骨ばった指が領収書に伸び
パチンという音と共にファイルに綴じられる。




「今、入力してたとこなんだって。」


「…今日、僕がやりますから。」



確かにこういう事務処理もチャンミンの方が得意ではあるけど…




「店長には店長にしか出来ないことやってください。」




そう言って机の上をちゃっちゃと片付け


来て1番に淹れてくれた珈琲を飲んだカップ

「腹の足しにどうぞ」とチャンミンに貰ったハムとかキュウリが挟まったパンの食べカスの乗った皿

そんなのを持って裏に消える







「いい加減、あっちも綺麗にしてくださいよね。スタッフだって入るんですから。」




…また怒られた。

食器を洗い裏から出てくると開口1番がコレ




「…そんな汚くねぇし。」

「洗ったものを出しっ放しにしたら臭くなるでしょ?」


…なるのか?


「服はかけとかなきゃ皺になります。」

「エプロンつけたら見えねぇだろ?」



店にいる時はエプロンつけるし
上は店のロゴが入ったジャンパーも着る

…問題ねぇと思うんだけど。


住居スペースではないけど、帰るのが面倒くさくてこっちに寝泊まりする事が多い


下手すれば万年床





「…店長が店にいる時あっちも片付けますね。
店長は自分の仕事…頑張ってください。」



ムスっと結ばれた口

綺麗な顔が台無しだな。




…俺にしか出来ないこと、
俺の仕事…、なぁ…







要らなくなった楽器を引き取り
うちで直してまた販売する。


大抵は親父がやってきたけど…





「あ、今日早く入れるって何時くらいから?
そういや、早めの時間で頼まれてた調律があったんだった…」


「昼過ぎ…1時くらいには来られます。」


「そっか。助かる。」



月に1度のピアノ調律なんて、最近ではあまり件数がない。

素人耳でも音がおかしいな。って頃に問い合わせが来て調律し直す。


この片田舎でも住宅が密集してきて、アップライトのピアノさえ少なくなったし

音を出せる時間も限られてたりする。




ひと昔前なら、いろんな家から音が溢れてきてたものだけど


今はすぐに雑音と捉えられてクレームが来るらしく、調律する時間も指定されることが多くなった。



まぁ、電子ピアノの普及であまりない話だけどな。




「…あの、そういう問い合わせが来た時っていつもどうしてるんですか?」


「え?」


「店空けなきゃいけない仕事の問い合わせが来た時です。」








店の入り口にかけてあるクローズを示すプレートが風に揺れガラス扉を叩く


季節が変わってく風が強く吹き
‘生徒募集中’と書かれた旗もたなびく


そんな音に混じって心地よい声



ジッと見つめてくる

穴があくほど




綺麗過ぎる瞳に目をそらす





…んな、見んなよ。
汚いもんまで見透かされそうでコイツは怖い







「…とりあえず、希望日と希望時間聞いておいて、後から電話かな?」




電話での問い合わせもメールでの依頼も
誰かが店にいる時じゃないと出られねぇから



親父も頼りにならねぇし
今はチャンミン頼りで




「店に誰かいないとな。」


「じゃあ、僕の講義予定とか分かってたら直ぐに返事出来るんですよね。」



そう言い、何を納得してんだか分からねぇけど何度か頷くと携帯を弄り出して



「店長の携帯も貸して貰って良いですか?」


「なんで?」


「カレンダー共有アプリ入れますんで。」



…そこまでは、と思いつつも携帯を手渡し
言われるままに設定する。


って、これってコイツの行動丸見えじゃんか



カレンダーには講義予定やら、レポートの提出期限

誰かとの約束らしきものまでオープンにされてて



「僕の予定は入ったらコレに入れてますんで、空いてるところに仕事入れちゃってください。」


「…あ、あぁ。助かる。」


「コレにこうやって入力すれば、僕の方にも反映されますから。」


「いいの?」



なんか…俺が全部知ってて良いのかな?
なんて、



シミひとつ皺ひとつないシャツを身に付け
背筋を伸ばし

まっすぐ過ぎるほどまっすぐなチャンミンは
俺には眩しいくらいで



「もう十分に恩返しは終わったぞ?」



そう言って茶化すことしか俺には出来なかった。





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今日も読んでくれてありがとうo(^o^)o
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4 Comments

no name no life  

そうなんですか!猫って毛の色と長さくらいしか違わないのかとおもってました。顔の作りも違うんですね。猫にも人間と同じ美醜問題あるんだ、切ない…。愛嬌良しでよかった!←何故か猫にくいつく?
わたしあの最期のランキングポチ? 好きなんですよ。僕猫さんの好きです。前作でも楽しみました!

チャンミン、グイグイきますね(^^)
様子見しない感じが素敵です!
ユノ大丈夫かなあ?

2018/04/11 (Wed) 18:50 | REPLY |   

僕猫  

no name no lifeさんへ

猫にも個性がありますよ(*^ω^*)
ユノさん似のこやシムさん似の子までw
人間と同じで猫ちゃんも愛嬌ある子は得してますよ。
なんでも最優先になっちゃいます。

え?バナーをそんな風に見ててくれたの?
んじゃ…頑張らないといけないかしら?
ふふふ

ん?ユノさん大丈夫かな?って…
ふふふ。どうでしょう。ユノさん大丈夫かなぁ?
このチャンミンくんは…真っ直ぐ、かな?

2018/04/11 (Wed) 21:51 | EDIT | REPLY |   

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このコメントは管理人のみ閲覧できます

2018/04/12 (Thu) 09:29 | REPLY |   

僕猫  

レ◯ニ◯さんへ

語りたいオンニ( ^ω^ )
いやん♡方言かわゆす♡←煽る煽る

え?あぁ、そうなんだ!
僕兎と僕猫の絡み見て萌える…え!それっていわゆる…
覗き見萌すか!
いやん♡エロい♡←え!

そっかパイオニアリスペクトね。
わかたよ。
僕兎、コメくれたらええなぁ〜♪


ん?やっぱりオンニ…、Mなん?
シムさんにお小言言われたい?←え?
ふふふ。

そうだね。圧チャンミンと押しに弱いユノさん?
弱すぎユノさんには…あぁああああ!←

物は大切に。
だね。ふふふ。
小学生だ/(^o^)\きゃっ

2018/04/12 (Thu) 20:38 | EDIT | REPLY |   

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