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STRAWBERRY MOON

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リグレット 34

Category - リグレット







「…まだあの場所に行ったりすんのか?」


「……あの場所って?」



受話器の向こう側

ヒョンの声がかたく聞こえる



騒がしかった後ろの音が静かになり
テミナのバーのバックヤードに入ったと予想がつく



「…花束が置いてあった。
テミナも行ってるのか?」


「おまえ…、勝手に動くなって言っただろ!
あの岬に行ったのか?」


「ヒョン、答えてよ。
あの場所には2人で行ってんのか?」





息を呑む音が聞こえる。


8歳も上の腹違いの姉が亡くなったことがヒョンの復讐心を作った

あの岬に立ち何を思ったのか…、



そして復讐したいとまで思ったヒョンは何を見聞きしてそう思ったのか…と

もしかしたら、ヒョンの初恋の相手だったのかもしれない…、と思い始めてた




俺は複雑に絡み合った糸をひとつずつ知っていく

チャンミンからの言葉で




俺がヒョンのもとへ預けられたのは、ヒョンがまだ大学生の頃

今思うと、大学生が小学生の俺を引き取るなんておかしな話


それも3年後にはテミナまで…


俺が大学生になった頃、ジュリさんと


ヒョンはそのあと辺りで喧嘩に巻き込まれたって言って太腿をザックリいかれた



チナ叔母さんが亡くなったのは、俺の母親が亡くなった1年前くらい


ヒョンは何を知り、何を考えてたんだ?


俺はヒョンの母親のことすら最低限のことしか知らない…




テミナと姐さんを愛するヒョンのことしか
知らない…








「先週末が命日だったんだ。ひとりで行った。
なんでそんなこと聞くんだ?」



声が揺れ、俺の質問の意図を探るように…



「今回は俺たちが動いてるって情報入らなかったんだな。ヒョンは知ってるかと思った。」



俺たちのマンションに見張りを付けているとヒョンは言ってたはずなのに…



「ジンさんにそっちは任せてある。
家と店だけで俺だって…、って言い訳か。」



本気でショックを受けてるような物言い
…ヒョンは、味方なのか?



「ユノ、大丈夫なのか?」

「なに?」


「こっちは家の方に頼んでない荷物が届いたり
店も少しずつ荒れてきてる。」



店…、キュヒョンが言ってた通りか…
家の方もってことは、ヒョンも標的…か?





「ユノ…何か、あったのか?」


「なんでもない。大したこと起きてないよ。」



「本当か?…で、チャンミンは例の在りか
心あたりは…思い出したりとかないのか?」




「ないよ。ヒョン。」



ヒョン…ごめん。事情は話さない

でも、ヒョンだって隠し事ばかりだ。
俺たちを巻き込みたくないとか色々言ってたって…、隠し事だろ?

守られてきた。

その恩はある
けど、何も…教えてくれなかった




俺の中でいろんなものが
やっと繋がってきた…



少しずつ繋がっていく



5億の借金でね。愛する人を…
…本当の名は愛する人に捧げたんだ。、、、


ジンさん…



…もしか、すると…が、確信に近づく



でも、ヒョンが顔を知らないわけがない。
けれど…

もし、顔さえも変えてたら…
いや、でもそれでも、わかるはずだ
















静かな病室
眠るチャンミンを見つめる


チャンミンもなぜ、
俺にさえあの在りかを言わない?


何か握ってるはずなのに








チャンミンも俺も検査を受け

俺は軽いムチウチ
チャンミンは少し小脳が腫れているようだと一晩様子をみることになった

額も5針縫い見た目も痛々しい



検査の時…、訝しむ様に俺を見る医者
それをチャンミンは笑った



「流石にココは目立ち過ぎるから隠しているだけで…」

なんて言って、首の傷を誤魔化して





刃物の傷にカラダ中の異常なまでの痕と今回の事故

変に勘ぐられたら、


俺がチャンミンを殺そうとしたんじゃないかと疑われてもおかしくない。


そういうところはいつも冷静に回避するチャンミンは俺より落ち着いている。




「運転ミスによる事故じゃない
ブレーキがきかなかったんだ。」

といくら言っても
警察はただのスリップだと


車には異常がなく
俺の運転ミスだと…



たくさんの落とし穴
警察まで…


深い闇
謎かけのように


じわりじわりと



…テミナの母が亡くなったとされた場所には1つの花束









息苦しさに窓を開けると
青い香りと潮風が流れ込む

春雨が止み少し冷たい風


雲の切れ間
強く光放つ満月が灰色の雲を彩る


静かに照らす様はチャンミンにも似て



俺は……戦えるのか?
戦う意味が、あんのか?


あの会社を手に入れチャンミンに返せば
全てがすっきりすると思ってた。




視線を感じ振り返ると常備灯に薄っすら照らされ光放つ…



「なんだ、起きたのか?」


小さなベッドの端に寄り
空いたそこをポンポンっと叩き微笑む


「もう声出るだろ?」


「癖になっちゃってるね。
……ユノがいないと眠れない。」



「声、出た途端、益々苦しい事ばっかじゃねぇの?」



綺麗な音で紡がれるものは苦しいものばかり

本当はもっと楽しいことを話したり
愛だけを囁ければいいのに…

苦しめてきた分、幸せにするつもりでいたのに



「…もう、辞めよっか、チャンミン。」

「なんで?」


「もう過去はどうでも良いし、俺はチャンミンと幸せにいれたらいい。」



怨みや知りたい気持ちそんなもんは消せない。

それでも…チャンミンに比べたらどうでも良い。



今日の出来事で思った。


クソ野郎を潰すことより
チャンミンを大切にすることの方が何よりも


なんで好きな奴を犠牲にしてまで、戦わなきゃなんねぇもんがあるのかわからなくなってきた。





「ユノは、お母さんの仇を取りたかったんじゃないの?」

「そうだったけど、別にいい。
おまえにあの会社やれれば、おまえの仇をとれると思ってただけだし。」


俺の考えは浅はかな気がしてきた。

あいつの大切なもん奪って跪かせ
チャンミンを傷つけた罰を与えようと

自分の黒々しい気持ちを払拭しようと…




それが今は俺がおまえを傷つけてる
心も身体も…







「退院する時、あの岬に寄ってさ
ハートのプレートに願いを書いてみない?」

「は?」


「…ずっと一緒にいられますようにって。」




おまえはどうしてそんな風に思えるんだ?
もし、おまえがあの像の女性のように現実では幸せになれなかったとして

天で結ばれたと勝手に思われ
自分の愛を成就させろって祈られて

そんなこと…耐えられるか?


そう考えたら俺は…祈れない




「さっきのことで…母が感じてた疑惑、そうかもしれないなって思えてきたんだよ。
叔母さんも巻き込まれたんじゃないのかな?」

「え?」


…消されたってことか?




「叔母さんはあそこでよくプレートに書いてたみたいなんだ。

そんな大切なところで…って思う気持ちとそれだけ耐えられないものあったのかなと…

ユノはどっちだと思う?」




ベッドの淵に座ったまま動けない俺の腕を引き抱きしめて欲しいと言うように見上げてくるから


男ふたりには狭いベッドだけど、
もぐりこみ抱き寄せる。


スンっというように鼻を寄せ
「ユノの匂い」なんて言って胸元を擽るのを抱き寄せ髪に鼻を埋める


いつものチャンミンとは少し違う香り
消毒液の匂いが鼻の奥を痛くする


思えば思うほど…いろんなとこが痛い




「…いろんなものに縋っちゃうんだよね…
自分も祈ってばかりいて何もできなかったから、わかる。」


「…チャンミン、」


「でも想ってる時間だって幸せなんだよ?
例え苦しくても……、俺はそうだったし。」



「…苦しくても、幸せ?」



「想い続けられる幸せ。
その想いの強さを誓いに行ってたんじゃないかなって…、違うのかな?
なのに…どうしてって思うでしょ?」



……



「ユノは、本当に戦うの辞めたい?
辞めたいなら、全部をシウォンさんに託そうと思う。」


「…なんで、だ?」


「母が大切にしたいユノとテミンを預けた人だから…ね?」



「ヒョンを疑って…」



「どうだろう。でも騙されても良いかな?シウォンさんなら…」



俺にはわからない。

辛くても想い続けることが幸せっていうのも
こんだけ辛い事ばっかなのに笑えるってことも

それでも人を信じられることも





「生きていてもそうじゃなくても
想いっていうのが…一番大切な気がする。」


…想い


「身体は想いを詰めておける箱みたいなものじゃないのかな?」


「なんだよ。それ、」


抱きしめてくる腕の力が強くなる


「気持ちをこうして伝える為の大切な箱…

母は俺を産んだことをもしかしたら後悔してたかもしれないけど、ユノに会わせてくれた事に感謝してる。」





俺も強く抱きしめ返し、髪に唇を落とす

知らなくたって生きていける。
逃げたっていい

今からを作っていけば良い





「願い、書いてみたら叔母さんの気持ちもわかるかなって、」


「知りたい?」


「母が守りきったもの。その意味も
わからないことだらけだから、知りたい。」



「傷つくことばっかなのに、か?」



少し迷うように唸り、また鼻を擦りつける



「…すっきりさせたい。
これも俺のワガママだけど…」



ずっといろんなもん抱えて生きてきて
知りたいって思う気持ちもわかる、けど



「…俺は、チャンミンが一番大切だから…」


「…俺もユノが一番大切
けど、負けたくない。運命にも宿命にも、」



…負けたく、ない?



「俺が守りたい。そして断ち切りたい。

本家の最後の血が俺だから…」


…本家最後の、血?


テグに本妻との子はいないっていうのは知ってるけれど、たくさんの妾も居るって…

テグにはこどもがいないってことか…



終焉を迎えることを天さえも願っているかのような運命


チャンミンも俺もテミナも
子を成す事はないだろう…




「本家が役目を終えれば、こんなこともなくなる。そう思いたい。」


「…欲深い人間なんかいくらでもいるぞ。」


「…そう、だね。」



一歩進めば迷い
迷っては立ちどまる。


考えあぐね、体温を分けあう


想い…


チャンミンの言う想いは
テグの中にも父の中にもあるのだろうか…、








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